販売の準備

コーヒー豆を売り始めるには?

自分の豆を売ってみたいシーサー君。焙煎店の先輩ナギと、最初の商品を届けるまでの準備を確かめます。

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自分で焙煎した豆を売りたい。まずは誰に、何gを、何袋届けるかを決めると、場所・設備・仕入れ・価格を具体的に考えられます。最初の20袋を例に、準備する順番を見ていきましょう。

ここでは、日本国内で生豆を焙煎し、豆や粉を袋詰めして小規模に販売する準備を扱います。先に手続きを知りたい方は、許可・営業届出と場所の確認へ進めます。

最初の1商品と、売る場所を決める

シーサー君

コーヒー豆の販売を始めたいです。最初に焙煎機を選べばいいですか?

ナギ

その前に、誰に、どんな形で届けたいかを決めよう。家で飲む人に200gずつ売るのと、カフェへ1kgずつ届けるのでは、必要な量も仕事も変わるからね。

例えば「家で毎朝コーヒーを飲む人へ、1種類の豆を200gで20袋、週末に手渡す」とします。これなら、どんな味を目指すか、何袋用意するか、いつまでに作るかを考えられます。

自分で焙煎するのか、包装済みの豆を仕入れて売るのか、一杯のコーヒーも提供するのかも決めておきます。同じ「豆を売る店」でも、行う仕事で必要な手続きが変わるためです。

ネット販売なら、梱包・送料・発送日も決めます。マルシェなら、出店条件と来場者に合う商品を確認。最初は売る場所を絞ると、買ってもらえるかと、作業が間に合うかを確かめやすくなります。

場所と手続きは、設備を買う前に確認する

シーサー君

豆だけを売る場合も、カフェと同じ営業許可を取るんですか?

ナギ

自分で焙煎した豆や粉を売るなら、基本になるのは営業届出だよ。一杯のコーヒーを抽出して提供する場合とは、分けて考えよう。

自家焙煎・包装済み再販・飲料提供で分ける

  • 生豆を焙煎・粉砕して、豆や粉を売る:通常の豆・粉の製造販売は、営業許可ではなく「コーヒー製造・加工業」として営業開始前に届け出ます。
  • 包装済みの豆を仕入れ、開封せずそのまま売る:常温で長期間保存しても、腐敗などで食品衛生上の危害が生じるおそれのない包装食品の販売は、営業届出の対象外です。自分で袋を詰め替える、挽く、量り売りする場合はこの条件に含めず、工程を伝えて確認します。
  • 抽出したコーヒーを提供する:店内提供やテイクアウトは、飲食店営業の許可を確認します。豆製造の届出だけでは扱えません。

瓶詰め飲料や菓子などを作る場合は、上の豆製造とは別に業種を確認します。

食品衛生責任者と、日々の衛生管理を準備する

シーサー君

調理師免許を持っていなくても、自家焙煎の販売を始められますか?

ナギ

調理師免許は必須ではないよ。届出対象の焙煎製造では食品衛生責任者を定めるので、認められた資格がなければ、自治体が認める養成講習会などで要件を満たす方法を確認しよう。

「食品衛生管理者」とは別の制度です。講習の日程や費用は、製造場所の自治体で確認します。

小規模な焙煎製造では、HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理も準備します。厚生労働省が公開するコーヒー製造向けの手引書を使い、清掃や異物混入の防止など、自分の工程に合う管理計画を作って実施・記録・見直しを続けます。制度への対応に第三者認証の取得は必要ありません。味や焙煎条件の記録だけで、衛生管理の記録がすべてそろうわけではありません。

自宅・ネット販売・イベントで確かめること

自宅で作ってネットで売る場合も、焙煎・加工をする製造場所の届出は必要です。

  • 自宅や借りた物件:届出営業には営業許可と同じ施設基準はありませんが、衛生的に作れる場所は必要です。物件の用途・契約、管理者の承諾、排気・電気やガス・工事、消防上の条件も、該当する窓口や機器メーカーへ確認します。
  • ネット販売:食品の手続きに加え、特定商取引法に沿った価格・送料・支払時期と方法・引渡時期・返品条件・事業者情報などの表示を準備します。購入者が注文を確定する直前の画面でも、数量や総額、引渡時期などを確認できるようにします。
  • イベント:包装豆の販売だけか、抽出や試飲もするかを主催者と開催地の保健所へ伝え、必要な手続きや提出書類を確認します。無料の試飲も、行事や提供方法によって扱いが変わります。

管轄の保健所へ確認するときは、次の3点を伝えます。

  1. 場所と設備:製造場所、作業・保管スペース、焙煎機や排気の概略
  2. 食品と工程:生豆か包装済み商品か、焙煎・粉砕・袋詰めをどこで行うか、保存方法
  3. 売り方と追加作業:店頭・ネット・イベント、飲料提供や試飲、既に持っている営業許可

制度の整理は2026年10月14日時点のものです。

袋の食品表示も販売前の準備です。名称、原材料と生豆の原産地、内容量、賞味期限、保存方法、事業者情報などを、消費者庁や自治体の最新案内で確認します。

必要な手続きと設置条件が分かったら、最初に払う費用と、販売を続ける費用を分けて予算に入れます。焙煎機本体・排気などの工事は見積もりを取り、生豆・袋・ラベル・光熱費・家賃などの継続支出も見込みます。設備を買ったあとに、次の仕入れや月の支払いに使えるお金が残るかまで確かめましょう。

20袋を作るには、生豆が何kg必要?

200gを20袋作るので、売れる豆が4kg必要です。例えば、焙煎・選別後に生豆の80%が残るとします。この「残る割合」が歩留まりです。

  1. 200gを20袋用意する

    4kg

    200g × 20袋 = 売れる豆4kg

  2. 必要な生豆

    5kg

    実質歩留まり80%なら、4kg ÷ 0.8

  3. 1回に生豆500gを使うなら

    10回

    5,000g ÷ 500g = 焙煎10回

必要な生豆は、4kg ÷ 0.8 = 5kg。1回に500gずつ焙煎するなら、5,000g ÷ 500g = 10回です。80%は例なので、試し焙煎で量った自分の数字に置き換えます。

シーサー君

20袋でも、10回焙煎するんですね。週末の作業時間を数えてみないと。

ナギ

そう。10回焼く時間に、準備・片付け・品質確認・袋詰めの時間も足そう。その量を作り終えられるかが、機械の容量を選ぶ手がかりになるよ。

販売分とは別に、試作や味の確認に使う豆も見込みます。仕入先では小口の購入量・送料・納期を比べ、次も同じ豆を仕入れられるか確認します。最初から種類を増やすと、買ったまま残る豆も増えやすくなります。

自分の量では生豆必要量計算ツールを、重さの量り方は歩留まりのガイドを使えます。

豆代から、続けられる売値を考える

例えば税抜2,000円/kgの生豆を5kg使い、20袋できたなら、1袋の豆代は10,000円 ÷ 20袋 = 500円です。

ここに袋・ラベル・電気やガス・作業時間を足し、売値の候補を考えます。さらに、売れそうな袋数で家賃などの月の支払いをまかなえるか確認します。

「近所のお店と同じ値段」も比較の出発点にはなりますが、自分の費用と量でも続けられるかは別に計算が必要です。順を追って試すなら、200g商品の販売価格の決め方へ進んでください。

販売前に、受け渡しまで1回通してみる

シーサー君

場所と手続き、作る量、値段が決まったら、販売日を決められそうです。

ナギ

最後に、注文を受けてから渡すまでを1回試してみよう。味を確かめ、重さを量り、袋を閉じて表示を付ける。全部にかかった時間が分かれば、無理のない受付数も決めやすいね。

販売する内容量を量る道具は、検定付きはかりの選び方と定期検査で確かめられます。

作業日には、焙煎した量・売れる量・作業時間を残します。販売後は、売れた袋数と残った量、お客様の反応を見て、次も同じ量と価格で続けられるかを確かめましょう。その結果を、次の仕入れと販売の準備に使います。

袋の表示はコーヒー豆のラベルを作る前の確認で整理できます。準備を具体化するには、焙煎記録の残し方、生豆在庫の管理、注文から焙煎量と納期を考える方法も参考になります。

販売を続けると、仕入れ値や焙煎で残る量も変わります。そのとき使った豆と重さを残しておくと、豆代の変化をたどれます。IRIDOMEのFreeプランでは焙煎記録を残せます。在庫や豆代まで一緒に確認したくなったら、Team・Proプランで、仕入れた豆のまとまりであるロットごとの在庫と、使用量・歩留まりに基づく材料原価を確認できます。