IRIDOME Guide
コーヒー豆100gの原価計算|焙煎後の目減り・歩留まりまで反映する方法
生豆価格、投入量、焙煎後重量、選別量からコーヒー豆100gの材料原価を計算する方法を具体例で解説。商品直接原価や販売時変動費との違いも整理します。
公開日: 2026-08-19 最終更新日: 2026-08-21
コーヒー豆100gの原価を計算するとき、生豆価格をそのまま100g換算すると、実際の商品に使える豆の原価より低く見えることがあります。
理由は、焙煎すると重量が減り、必要に応じて焙煎後の選別でも販売可能重量が減るからです。
まず結論だけ見ると、材料原価は次の流れで計算できます。
生豆使用原価 = 生豆価格(円/kg)÷ 1,000 × 投入量(g)
販売可能重量 = 焙煎後重量 - 選別除去量
100gあたり材料原価 = 生豆使用原価 ÷ 販売可能重量 × 100
例えば、生豆2,000円/kgを500g投入し、焙煎・選別後に410g販売できるなら、100gあたり材料原価は約244円です。
この記事では、この計算を具体例で分解し、そのあとに包材・販売手数料・送料をどこまで分けて考えるかを整理します。
自分の数字ですぐ計算したい場合は、焙煎歩留まり・原価計算ツールを使えます。
100gの材料原価を具体例で計算する
1. 生豆の使用原価を出す
生豆価格が2,000円/kgで、500gを焙煎するとします。
2,000円/kg ÷ 1,000 × 500g = 1,000円
この焙煎で使用した生豆の原価は 1,000円 です。
2. 焙煎後の販売可能重量を出す
焙煎後の重量が418gで、さらに選別で8g取り除いたとします。
焙煎後重量 418g
選別除去量 8g
販売可能重量 410g
3. 販売可能重量で原価を割る
1,000円 ÷ 410g = 約2.44円/g
したがって100gあたりでは、
約2.44円 × 100g = 約244円
です。
| 項目 | 金額・重量 |
|---|---|
| 生豆価格 | 2,000円/kg |
| 投入量 | 500g |
| 生豆使用原価 | 1,000円 |
| 焙煎後重量 | 418g |
| 選別除去量 | 8g |
| 販売可能重量 | 410g |
| 1gあたり材料原価 | 約2.44円 |
| 100gあたり材料原価 | 約244円 |
生豆価格だけを100g換算すると200円ですが、焙煎・選別後の販売可能重量まで考えると約244円になります。
歩留まりを使って簡易計算する方法
毎回の焙煎後重量がまだ分からない段階では、想定歩留まりから概算する方法もあります。
例えば、歩留まり82%と仮定する場合、
焙煎豆1kgあたり材料原価
= 2,000円/kg ÷ 0.82
= 約2,439円/kg
100gあたり
= 約244円
となります。
ただし、歩留まりは生豆・焙煎度・焙煎機・プロファイル・選別量などで変わります。
販売後の実績原価を見たい場合は、一般的な目安を使い続けるより、自分のバッチで投入量と焙煎後重量を実測する方が実態に近づきます。
歩留まりと重量減少率の違いはコーヒー焙煎の歩留まりとは?で整理しています。
同じ生豆でも焙煎結果で100g原価は変わる
同じ2,000円/kgの生豆を500g使っても、販売可能重量が変われば100g原価も変わります。
| ケース | 生豆使用原価 | 販売可能重量 | 100g材料原価 |
|---|---|---|---|
| A | 1,000円 | 430g | 約233円 |
| B | 1,000円 | 410g | 約244円 |
| C | 1,000円 | 400g | 250円 |
つまり、仕入価格が同じなら商品原価も同じ、とは限りません。
原価が変わったときは、生豆価格だけでなく歩留まりや選別量も確認する必要があります。
「原価」を3段階に分ける
原価管理が混乱しやすい理由の一つは、「原価」という言葉に何を含めているかが人によって違うことです。
ロースターの実務では、まず次の3段階に分けると整理しやすくなります。
1. 材料原価
生豆そのものの原価です。
生豆価格
× 実際の投入量
÷ 販売可能重量
をベースに、商品100g・200gに何円分の豆を使うか確認します。
2. 商品直接原価
商品を1つ作るために直接必要なものを加えます。
例えば、
- 焙煎豆
- 袋
- ラベル
- バルブ等の追加資材
- 商品単位で使う箱・資材
です。
200g商品の材料原価が488円、袋60円、ラベル10円なら、
488 + 60 + 10 = 558円
商品直接原価は558円です。
3. 販売時変動費
注文・販売が発生したときに増える費用を別にします。
例えば、
- EC・決済手数料
- モール手数料
- 固定の決済手数料
- 自社負担送料
- 注文単位の梱包資材
などです。
こう分けると、
生豆が高くなったのか
包材が高くなったのか
販売チャネルの費用が高いのか
を切り分けやすくなります。
商品直接原価と販売時変動費まで入れて試算したい場合は、販売価格・参考差益計算ツールを使えます。
販売価格を逆算したい場合は、販売価格シミュレーターも利用できます。
「参考差益」をそのまま利益と呼ばない
例えば1,200円の商品について、商品直接原価と販売時変動費を引いた残りが500円だったとしても、それが最終的な利益とは限りません。
まだ、
- 電気・ガス
- 人件費
- 家賃
- 設備費・減価償却
- 廃棄
- 販促費
- その他固定費
などが含まれていない可能性があります。
そのため簡易計算では、「利益」「粗利」と断定せず、何を差し引いた数字なのかが分かる名前で扱う方が安全です。
IRIDOMEの無料Toolでも、この考え方から「参考差益」という表現を使っています。
仕入れロットごとの価格差を原価へ反映する
同じ「コロンビア」という豆でも、仕入れ時期によって価格が変わることがあります。
LOT-A 1,800円/kg
LOT-B 2,200円/kg
この2つを平均して「コロンビア 2,000円/kg」とだけ持っていると、実際にどちらを使った焙煎なのか分かりません。
より実態に近い材料原価を出すなら、
仕入れロット
↓
そのロットの仕入単価
↓
実際の投入量
↓
焙煎後・選別後の販売可能重量
↓
100g材料原価
という関係をつなげます。
仕入れロットの分け方は生豆在庫管理のガイドにまとめています。
100gと200gでは材料原価を単純に倍にできる
同じ焙煎豆を使うなら、材料原価部分は内容量に比例します。
100g材料原価が244円なら、
100g = 約244円
200g = 約488円
250g = 約610円
です。
ただし、商品全体の原価は袋・ラベル・送料・決済手数料等が単純に比例するとは限りません。
そのため、商品サイズを比較するときは「材料原価」と「商品単位・注文単位の費用」を分けて考えます。
原価計算は一度作って終わりではない
原価は、次のような変化で動きます。
- 生豆価格が変わった
- 仕入れロットが切り替わった
- 焙煎度・プロファイルを変えた
- 歩留まりが変わった
- 選別量が増えた
- 包材価格が上がった
- ECや決済手数料が変わった
つまり、最初に完璧な計算式を作ることよりも、どの変化で原価が動いたか分かる状態を作ることが重要です。
焙煎記録に何を残すかは焙煎記録には何を残す?でも整理しています。
まずは無料Toolで計算する
1回の焙煎について原価を知りたいだけなら、専用の管理システムは必要ありません。
を使えば、登録なしで試算できます。
IRIDOMEの場合
IRIDOMEでは、生豆を仕入れロット単位で管理し、焙煎時の投入量・焙煎後重量とつなげて、実際の使用ロットと歩留まりを考慮した原価を確認できるようにしています。
Excelで計算式を作ること自体は難しくありません。
仕入れロット
↓
焙煎記録
↓
投入量 / 焙煎後重量
↓
歩留まり
↓
原価
を毎回手でつなぎ直す作業が増えてきたときが、仕組み化を考えるタイミングの一つです。