卸の見積もり
卸の注文、いくらなら引き受けられる?
卸の相談を受けたハルと、焙煎店の先輩ナギ。10kgの注文を例に、値段と作れる量を一緒に確かめます。
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カフェなど、別のお店へ豆を売るのが「卸」です。同じ豆でも、小売とは袋の大きさや渡し方が変わります。10kgの注文を例に、いくらで、何kgまでなら受けられるかを考えます。
お金を確かめる
費用を払える?
豆・袋・送料に、自分の作業時間も入れる
時間を確かめる
納期を守れる?
今ある注文と予備時間を先に確保する
ここでは税抜で、販売時の決済手数料はかからない条件とします。
1. 卸にすると、どの仕事が減る?
ハル
カフェから卸の相談をもらったんです。まとめて買ってくれるなら、小売より安くしても大丈夫ですよね?
ナギ
1kg売るなら、200g袋では5袋、1kg袋なら1袋。袋詰めや受け渡しをまとめられるね。でも、豆は同じ量を焼く。どの費用と仕事が減るか、順番に見てみよう。
まず、どちらも10kg売る条件で比べます。小売は200gを1,100円で50袋。卸は1kgを4,500円で10袋、1か所への送料込みとします。
生豆12.5kgを焼いて、売れる豆が10kgになったとします。生豆は1kgあたり1,600円なので、豆代はどちらも同じです。
12.5kg × 1,600円 = 生豆代20,000円
表は横にスクロールできます →
| 10kg分の金額 | 店頭小売 | 卸 |
|---|---|---|
| 売上 | 55,000円 | 45,000円 |
| 生豆代 | 20,000円 | 20,000円 |
| 袋・ラベル代 | 2,500円 | 1,000円 |
| 燃料・送料など | 1,000円 | 2,000円 |
| 費用の合計 | 23,500円 | 23,000円 |
卸は袋代が下がる一方、発送費が増えます。この例では、費用は500円減るのに、売上は10,000円減ります。袋代だけでは、値下げの判断はできそうにありません。
2. 自分の作業時間にも、金額を置く
ハル
焙煎は準備や片付け込みで3時間。その後の袋詰めや販売・発送まで入れると、小売は合計8時間、卸は5時間で済みそうです。
ナギ
それなら、卸は3時間短くなるね。自分が働いた分も、売上から受け取りたい。1時間の仕事に2,000円を充てるとして比べよう。
- 小売:8時間 × 2,000円 = 作業に16,000円
- 卸:5時間 × 2,000円 = 作業に10,000円
費用と作業の金額を、売上から引きます。
小売:55,000円 − 23,500円 − 16,000円 = 15,500円
卸:45,000円 − 23,000円 − 10,000円 = 12,000円
卸は3時間短くなりますが、残る金額は3,500円少なくなります。まだ家賃などを引いていないので、この残りは最終的な利益ではありません。
小売でも10kg売れる場合の比較です。実際には、店頭で売れる見込みと、注文が決まっている卸の違いも考えます。
3. 残る12,000円で、月の支払いに足りる?
ハル
12,000円残るなら、受けてもよさそうですね。
ナギ
家賃や通信費は、まだ計算に入っていないよね。ほかの注文から回せるお金と合わせて、月の支払いにも足りるか確かめよう。
この店では、家賃・設備費・注文に含めていない仕事の報酬などに、月80,000円が必要だとします。ほかの注文から、費用と作業の金額を引いたあとに70,000円を回せるとします。
月に必要な80,000円 − ほかの注文から70,000円 = 不足分10,000円
今月の追加注文を、この卸10kgだけとして計算します。
卸の残り12,000円 − 月の不足分10,000円 = 2,000円
10kgで45,000円なら、今回数えた支払いをまかなって2,000円残ります。値上がりや作り直しへの備えも残せるかを考えて、提示する価格を決めます。
先方の予算に合わなければ、引き取りや発送回数の変更で、費用と時間を減らせるか相談します。追加注文が複数ある月は、その全体で月の不足分をまかなえるか確認します。
4. 焙煎できても、発送まで終えられる?
ハル
値段は相談できそうです。焙煎機にはまだ空きがあるので、注文が増えても受けられるかな。
ナギ
焙煎のあとにも、袋詰めと発送があるよね。今回の10kgには全部で5時間必要。納品日までに、自分の時間も空いているか見よう。
納品する週の予定を、紙や表に書き出します。
- 仕事に使える時間:24時間
- すでに決まっている仕事:16時間
- トラブルに備えて空けておく時間:3時間
24時間 − 16時間 − 3時間 = 新しい注文に使える5時間
10kgで残り5時間を使い切るため、追加注文はこの週に収まりません。焙煎機を使う3時間も確保し、生豆・袋の準備から配送の締切まで、予定に収まるか確認します。
定期注文なら、忙しい週も含めて出荷日ごとに確かめます。判断するのは、今ある仕事と一緒に、納品日までに終えられる量です。
まずは、1回分の条件をそろえて見積もろう
価格と時間を確かめたら、見積もりに次を書きます。
- 何を、どれだけ? 豆の種類、豆か粉か、袋の大きさ、1回の注文量
- いくらで? 単価と総額、送料を含むか、支払方法と支払日
- いつ、どこへ? 注文締切、納品日、納品先
今回なら「1kg袋を10袋、税抜45,000円、1か所へ送料込み」が価格の前提です。同じ10kgでも、2kgずつ5回送れば費用と仕事が増えます。条件が変わったら、価格と時間も計算し直しましょう。
初回は実際の費用と作業時間を残し、次の見積もりに使います。必要な豆の量は必要生豆量計算ツール、焙煎回数の考え方は受注量から考える焙煎計画でも確認できます。