販売用のはかり
コーヒー豆を売るとき、どのはかりを使う?
200g入りの豆を売る準備をするハル。ナギと、販売に使うはかりの選び方と、豆だけの重さを確かめます。
最終更新日:
「200g入り」のコーヒー豆を売るなら、袋に詰める前にはかりを確認しましょう。販売する内容量を量る一般的な卓上はかりには、検定証印または基準適合証印が必要です。こうしたはかりは「検定ばかり」「検定付きはかり」と呼ばれています。
ここでは、人が豆を載せ降ろしする「非自動はかり」を使って、焙煎豆を200gずつ販売する場面で考えます。
いつものコーヒースケールで、豆を売ってもいい?
ハル
抽出に使っているスケールは、細かく量れます。袋詰めにも使えますか?
ナギ
まず、本体に取引・証明に使える印があるかを見よう。細かい数字が出ることに加えて、販売する量を量るための条件を満たしている必要があるんだ。
計量法では、取引や証明に使う計量器にルールを設けています。コーヒー豆の販売では、お客様に渡す量を決める計量が身近な例です。
- 注文された200gを量って販売する:販売量を決める計量に当たる
- 200g入りの袋を作り、1袋いくらで販売する:表示する内容量を決める計量も対象になる
- 焙煎前後の重さを、自店内の歩留まりの分析だけに使う:販売量や契約条件の根拠にしない内部管理なら、通常は取引・証明のための計量に当たらない
- 抽出の粉量を、味やレシピの調整だけに使う:調理・内部管理のための計量として考える
袋を先に作る場合も、通販で売る場合も、販売する内容量を量る点は同じです。「重さで価格が変わる量り売り」だけでなく、200g入りの定額商品でも確認します。
内部管理のつもりで測った数字を、そのまま商品の内容量や取引先との約束に使う場合は、用途が変わります。はかりを選ぶときは「何を量るか」と一緒に、その数字を何に使うかを整理しましょう。
なぜ、お店のはかりにはルールがある?
ハル
お店ごとにはかりが違っても、同じ200gとして買えるようにするんですね。
ナギ
そう。買う人が受け取る量と、売る人が渡す量を、共通の基準で確かめられるようにする仕組みだよ。
日本では1891年に度量衡法、1951年に計量法が制定され、計量の基準を整えてきました。1992年の全面改正を経て、1993年11月に現在の計量法の主要部分が施行されています。このとき、国の指定を受けた製造事業者が自社で基準への適合を確認する制度も導入されました。
はかりのずれは、買う人の不足にも、売る人の入れ過ぎにもつながります。取引に使えるはかりを選び、使い始めたあとも状態を確かめることが、毎日の袋詰めの土台になります。
本体の印と、量れる範囲を確認する
本体の側面や底面などにある、銘板や表示を見ます。購入前なら、販売する豆を量る用途と、使う場所を販売店に伝えましょう。
まず見るのは、2種類の証印
- 検定証印:法定の検定に合格したことを示す印
- 基準適合証印:国が指定した製造事業者による、所定の基準への適合を示す印
どちらかを確認します。家庭用はかりの丸正マークは、取引・証明に使えることを示す印ではありません。「高精度」「業務用」という商品説明や校正証明書だけで判断せず、本体の証印を確かめます。
次に、200gを量る条件を見る
- ひょう量(Max):量れる上限。豆と容器を載せる重さや、風袋引きの条件も確認する
- 最小測定量(Min)・使用範囲:取引に使うときの下限と範囲。販売する200gがその範囲に入るかを見る
- 目量・表示:取引に使える目盛や表示の刻みを確認する。販売する量に合う細かさかを見る
- 使用地域・使用場所:実際に使う場所に合っているかを確認する
例えば、1g刻みで数字が出ても、1gから取引に使えるとは限りません。細かな補助表示や拡張表示がある機種では、取引・証明に使える表示を取扱説明書で確かめます。
使用地域が関係するのは、場所によって重力が少し違い、はかりの表示に影響するためです。使える地域や区分は機種によって異なります。中古品を買うときや別の地域へ持ち出すときも、本体の表示と説明書を確認しましょう。
袋の重さを引いて、豆だけを200gにする
ハル
袋ごとはかりに載せて200gになったら、そのまま封をしていいですか?
ナギ
袋の重さも入っているね。内容量は豆だけの重さだから、袋や容器の分を引いて量ろう。この包装などの重さを「風袋」と呼ぶよ。
袋ごとの重さから、袋の分を引くとこうなります。
袋と豆を合わせると
208g
袋ごと量った重さ
袋の重さを引く
−8g
この例の袋の重さ
豆だけの正味量
200g
208g − 8g。商品として渡す中身の重さ
8gは、この例の袋の重さです。袋の大きさや材質を変えたら、その袋に合わせて確認します。ラベルなども一緒に載せて量る場合は、それらの商品以外の重さも除きます。
袋詰めでは、次の順番で確かめます。
- 安定した水平な台に置く:風や振動が伝わる場所を避ける
- 水平とゼロ点を確認する:何も載せていない状態の表示を合わせる
- 容器や袋を載せ、風袋引きをする:取扱説明書に沿って、その重さを差し引く
- 販売する豆を載せ、表示が安定してから読む:豆だけの量を確認する
- 袋へ移すなら、移し残しやこぼれを防ぐ:最終的に販売する内容量を確認して封をする
販売量は、焙煎・選別後に量ります。焙煎前後で重さが変わる理由や記録の取り方は、焙煎歩留まりのガイドで確認できます。
買ったあとも、定期検査の予定を確認する
ハル
検定付きのはかりを買えば、そのままずっと使えますか?
ナギ
使ううちにずれが出ることもあるから、使用中の精度を確かめる定期検査があるよ。自分の地域の検査予定も確認しておこう。
取引・証明に使う一般的な非自動はかりは、原則として2年に1回の定期検査を受けます。都道府県や特定市などが区域ごとに日程を定めるため、使用場所を管轄する計量検定所・計量検査所などで確認します。
非自動はかりの検定そのものには、有効期間が定められていません。2年ごとの定期検査は、使っているはかりの状態を確かめるためのものです。本体の検定証印・基準適合証印と、定期検査に合格した際の定期検査済証印を分けて見ましょう。
新品でも購入日だけでは次の検査時期は決まりません。証印の年月によって初回の検査が免除される場合があるので、本体の印と年月を伝えて確認します。中古品も、使用地域に加えて検査歴と次の予定を確かめてから使います。
所定の計量士による「代検査」を受け、必要な届出を行う方法もあります。自分で分銅を載せて確認したり、通常の校正を依頼したりするだけで、定期検査の代わりになるわけではありません。不合格になった場合は販売量の計量への使用を止め、修理などの対応を確認します。
販売前に、この4点をそろえる
- 証印:取引・証明に使える印がある
- 使用範囲:販売する豆の量と、容器を載せる条件が合っている
- 使用地域:実際に使う場所に合っている
- 検査予定:管轄と次に受ける検査を確認している
準備ができたら、使う袋とはかりで、風袋引きから封をするところまで一度通してみましょう。販売全体の準備は、自家焙煎コーヒー豆の販売を始める手順に沿って進められます。